episode32 うつと休職 通院③
電話を切り、家を出て、てってけてってってーと小走りで病院へ向かいます。
近所なのであっというまに着きました。
大きな病院の前なので当然のようにバス停があります。
多くの人が並んでいます。
ちょっと入りづらいですが「外科もしくは内科に通院するんですよ~」と
しれ~と行列の前を通り敷地内へ入ります。
そして建物内へ。
っと、ふと壁の看板を二度見。
「が、がーん!外科と内科のところが消されている」
バス停の人たちは知っていたのでしょうか!
せっかく専門のクリニックを避けここの病院にしたのに・・・
ただもう後には引けません。開き直って扉を開け総合受付に向かいます。
「あ、あの先ほど電話した者ですが初診で来ました」
「では待合室でお待ちください」
電話とは違い冷静で無表情な係員さんが案内をしてくれました。
そして待合室に入ります。
どわ!
その空気感に思わずあとずさりしてしまいました。
ホームページで待合室の写真が掲載されていたのですが
そのイメージは高級ホテルのラウンジのようで清潔で明るいところでした。
ところが現実はと言えば薄暗!・・・
天井を見ると蛍光灯が4本ずつあるのに3本が外され1本ずつだけ・・・
ソファーは相当くたびれています。
歴史ある病院ですから仕方ないとは言え、ここまでとは。
そして患者さんはと言えば・・・。
人間、理性がなくなるとこうなるのでしょうか。
煎餅をバリバリ食べている人。アイスをかじっている人。
独り言を喋っている人。
無言のまま壁を見つめている人。
ソファーで寝そべっている人。
予約の電話で「動物園ですよ」と紹介された意味がわかりました。
とりあえず一番後ろの端に存在感を無くして座ります。
しばらくすると受付の方で
「こんにちはー」
という大きな声が聞こえます。
その後その声が待合室に迫ってきました。
「こんにちはー」
若い女性ですが一人一人の顔を覗き込んで次々と挨拶しています。
きょ、強烈~。
うつ左衛門のところにも回って来ました。
「どうも」
目合わさないようにやり過ごします。
「ふ~」
これはもう周りとのコミュニケーションを断つために寝たふりをするしか
なさそうです(笑
そして目を閉じてから5分位して
「あの、すみません」
声をかけられました。
おそるおそる目を開けると・・・