Episode25 うつと休職 身辺整理
続いては身辺整理です。
もし休職できるようになった場合、異動と違い自分で荷物整理はできません。
あらかじめ内緒で整理をしておかなければ。
異動の時は時間がなく書類すべてを段ボールに詰め込んで整理は異動先でやろう、
とならざるをえません。しかし結局異動先でもなんかかやで時間がなく、書類はそのまま溜まっていく一方です。
そして書類はデスクの引き出し、キャビネ、そして倉庫に段ボールのまま眠って
いるものと敵は多しです。
もちろん、日中は周りの目がありますから手は付けられません。残業を終えた
あと、夜な夜な作業することになります。
いつか使えるだろうという分析資料ファイル、代々部署の引継ぎ資料、社史、
取引先担当者・退職者からの手紙類など多岐に亘ります。
また老後の楽しみにとっておいた入社時からの給与明細、毎年の手帳。
引っ越しの時の古新聞を思わず読み込んでしまうがごとく、
つい眺めては思い出にふけってしまいます。
いやいやそんな時間はありません。
心を鬼にして片っ端から廃棄して荷物を減らさなければ。
他社員が帰宅したあとのフロアでシュレッダーの前にイスと段ボールを
置き、ひたすら「ジュジュジュジュ」とシュレッダーしていきます。
いつもこの時間に清掃業者のおばちゃんが掃除をしてくれます。
「おそい時間までご苦労さん」
お互いに労うのが毎日の風景でした。
しかし、ここのところ毎日シュレッダーの前に居座っている姿を見て
違和感を感じたようでそのうち声をかけてこなくなってしまいました
長年の経験で休職前の社員の様子と被ったのでしょうか、それとも
なにか証拠隠滅でもしているのかと疑っていたのでしょうか。
心配させてすみませんでした。
そんなこんなで1か月かけて少しずつ書類処分が進んでいきました。
ただ結局、持ちクレームがなくなることはムリで休職はできず
無駄な作業だったと落胆する自分を想像しながらでしたが。